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デーモン閣下「吾輩の姿の無断使用」、NHKアニメに激怒…本当に肖像権侵害? [デーモン閣下「吾輩の姿の無断使用」]

デーモン閣下「吾輩の姿の無断使用」、
NHKアニメに激怒…本当に肖像権侵害?

「吾輩の姿の無断使用」デーモン閣下.GIF
NHKEテレ「ねこねこ日本史」公式サイトより

デーモン閣下がNHKアニメの
キャラについて
「我輩の肖像が我輩に
なんのことわりもなく
使用されている」として、
肖像権侵害を訴えている問題。

このアニメはEテレ
「ねこねこ日本史」で、
擬人化したネコが歴史上の
人物に扮している。

デーモン閣下が
問題視しているのは、
第64話に登場した
「デーモン風高杉」だ。

デーモン閣下は自身の
ブログで3月15日、
「『デザイン上「偶然」とか
「たまたま」似てしまった』
ではなく、名前も含めて
明らかに
【吾輩の姿の無断使用】である」
と指摘。

「悪意は無いのかも知れないが、
無断で使用された事実に
かわりはない」と断じ、
「不快である」
「心身の損害を被っている」
とも述べた。

デーモン閣下.GIF
デーモン閣下

番組ホームページでは
3月19日までに
「デーモン風高杉」を
削除している。

「デーモン風高杉」は
デーモン閣下が主張するように
「肖像権の侵害」に
あたるのだろうか。

それとも、
「表現の自由」として
許されるのだろうか。

肖像権の問題に
詳しい佃克彦弁護士に聞いた。

●イラストでも「肖像権」の侵害になる?

「デーモン閣下の、
『吾輩の肖像が吾輩に
何のことわりもなく
使用されている』
とのお怒りから真っ先に
頭に浮かぶのは肖像権です。

肖像権とは一般に、
自己の容貌や姿態を
みだりに撮影されたり、
その撮影された写真を
みだりに公表されたり
しない権利をいいます。

このように肖像権とは通常、
写真を撮影する行為と、
その写真を公表する行為を
問題としています。

しかし本件の場合、
問題のテレビ番組は、
デーモン閣下の写真を
使用しているものではなく、
使用されているのは
イラストに過ぎないという点で、
典型的な肖像権侵害の
事案とは少し異なっています」

●今回のケースは肖像権侵害の「限界事例」

「判例は、写真ではなく
イラスト画による場合であっても
肖像権侵害は生じ得るとしており、
よって、デーモン閣下の
イラスト画の場合も、
閣下に対する肖像権侵害の問題を
生じる可能性はあります。

もっとも、イラスト画の場合、
写真とは異なり、被写体の姿を
機械的に忠実に写し取って
再現するものではなく、
作者の主観や技術によって
相応のアレンジがなされるものです。

つまり、イラスト画の場合、
機械的な再現ではなく作者の
アレンジが介在するという
意味において、容貌を
写し取って世間に公表する
手段としては、写真ほどの
直接性はありません。

容貌に対する関係での
このような間接的な性質から、
イラスト画による場合は、
写真による場合よりも
肖像権侵害の成立しうる
範囲は限定されると考えられます。

本件の場合、まさにこの
限界事例にあたると思われ、
このイラスト画では閣下の
肖像権侵害は生じていないのでは
ないかといえなくもありません。

しかし、次の論点もありますので、
とりあえずここでは、デーモン閣下の
イラスト画は肖像権侵害の問題を
生じる可能性があるものとして
次に進みましょう」

●テレビで活躍する芸能人や
著名人の「肖像権」とは

「本件の場合、更に検討
すべきことがあります。

肖像権はもともと、
自分の顔や姿を
さらされたくない人、

換言すれば、
さらされることを
恥ずかしく思ったり
不快に思ったりする
市井の人を保護するものと
して発達してきたものです。

このように肖像権は、
『自分は撮影されたくない。
顔を世間にさらされたくない。
放っておいてくれ』という
気持ちを保護するものであり、
学者によっては、
肖像権をプライバシー権の
一類型として捉える
人もいるくらいです。

●デーモン閣下お怒りの原因は
「パブリシティ権」侵害

「それならデーモン閣下は
なぜお怒りになっているのか
というと、肖像をさらされて
恥ずかしいということではなく、
自分の“商売道具”である
肖像を勝手に使用されることに
よって自分の商売を不正に
邪魔された、というお怒りだと
思われます。

芸能人などの著名人の場合、
一般の人たちからの注目を
集める立場にあるという意味で
『顧客吸引力』があると
いわれており、
この顧客吸引力を背景に
『パブリシティ権』という、
肖像権から派生した権利が
特に認められています。

パブリシティ権とは、
芸能人などの著名人が、
自分の肖像や氏名を無断で
商業的に使用することを
禁止するなど、
その肖像や氏名の有する
経済的価値をコントロールする
権利をいい、デーモン閣下は、
このパブリシティ権が
侵害されたとして
怒っているのでしょう」

他方、デーモン閣下は芸能人であり、
しょっちゅうテレビに出ている
著名人です。

つまり、世間に向けて自分の
姿をさらすことを仕事にして
いる人であり、自分の姿を
さらすことで自身が不快感や
羞恥心を覚えることはまず
考えられません。

とりわけ芸能人の場合、
むしろ、より多く人目に
触れることをよしとする
感覚もあるでしょう」


●パブリシティ権侵害の
判断ポイントは「顧客吸引力」

「そこで、今回のイラスト画が
デーモン閣下のパブリシティ権を
侵害するものといえるかを
検討します。

判例は、
パブリシティ権の侵害が
あるといえるためには、
『専ら肖像等の有する
顧客吸引力の利用を目的と
するといえる場合』
であることが必要だ
としています。

したがって今回の件は、
制作側がデーモン閣下の
顧客吸引力を専ら
利用しようとしていたと
いえるかどうかが
判断の分かれ目となります。


この『顧客吸引力』とは、
文字通りお客さんが
吸い寄せられる力です。

仮に制作側がデーモン閣下の
氏名や肖像を利用して
顧客(つまり視聴者)の
関心を吸い寄せようと
するのであれば、制作側は
、閣下の肖像や名前を番組上、
前面に押し出すでしょう。


たとえば、
番組のタイトルに
閣下の名前を入れるとか、
番組の主役を閣下にする
などです。

そうでもしない限り、
一般の人は、そもそも
その番組にデーモン閣下の
キャラクターが出てくる
こと自体を知り得ない
でしょうから、
『顧客』が『吸引』
されることにはなりません。

反対から言うと、
そのように前面に押し出されて
いないのであれば、判例の言う
『専ら…顧客吸引力の利用を
目的とするといえる場合』
にはあたらないことになるでしょう。

本件の場合、
タイトルに閣下の名前が
使用されているわけではなく、
また、閣下が主役である
わけでもないようです。

そうすると本件の場合、
閣下のパブリシティ権を
侵害しているとはいえない、
ということになりそうです。

制作側としては、
デーモン閣下のお怒りに
触れて『これは失敗した』と
思っているでしょうが、
本件は、法的には
パブリシティ権を侵害したと
まではいえない事案だと
いうことです。

デーモン閣下がお怒りに
なる気持ちも分かりますが、
法律上はこういう
結論になると思います」

弁護士ドットコムニュース編集部では
3月19日、NHKに対して取材を
申し込んだが、3月20日現在、
まだ回答はない。

【取材協力弁護士】

佃 克彦(つくだ・かつひこ)弁護士

1964年東京生まれ 早稲田大学法学部卒業。
1993年弁護士登録(東京弁護士会)
著書に「名誉毀損の法律実務〔第2版〕」、
「プライバシー権・肖像権の
法律実務〔第2版〕」。

日本弁護士連合会人権擁護委員会
副委員長、東京弁護士会綱紀委員
会委員長、
最高裁判所司法研修所教官を歴任

事務所名:恵古・佃法律事務所

弁護士ドットコムニュース編集部


弁護士ドットコム 3/21(水) 9:47配信

最終更新:3/21(水) 9:47

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180321-00007602-bengocom-soci

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